遠方へツーリングに行くとルート選定で悩むことも多い。
できるだけ渋滞にはハマりたくないし、可能な限り交通量の少ない道路を、景色を楽しみながら余裕をもって走りたい。それがベストだ。
でも土地勘のない場所では、どうしても主要幹線道路を通る比率が高くなり、渋滞にハマってしまう・・・
ある日、何気なく見ていた国土交通省のサイトで、全国道路交通センサスのデータを発見。
中身を見ていたら・・・アレ?これってツーリングに使えるんじゃね?
・・・てことで、応用する方法を考えてみた。
もくじ
- データ公開場所
- 地元の道路を考える
- 昼間12時間交通量の許容値を考える
- 実際の交通量を調べてみた(群馬編)
- 実際の交通量を調べてみた(4月に走った薩摩半島編)
- 実際の交通量を調べてみた(最高のバイクツーリング向け国道編)
- まとめ
データ公開場所
各都道府県毎に膨大なデータが公開されている。こんなの全部見れるワケないから、我々素人は、説明資料と箇所別基本表だけ見とけばオッケー。
地元の道路を考える
まずは数値の雰囲気を掴んでみたい。
地元、群馬南部のバイクが多い国道を例に考えてみよう。
国道353 赤城南面区間 (溝呂木~クローネンベルク)
ココの俺的ツーリングルートとしての評価は
道幅広さ 2
道路設計良さ 2
交通量少なさ 3
展望良さ 4
群馬南部の国道の中でも屈指の観光スポット。景色がとても良く、ビュースポットが断続的に存在する。このため交通量は多い(特に土日)。平日も渋川方面から前橋東部へ抜けるクルマが一定数いる。
ツーリングルートとして考えると正直ビミョー。地元民的に土日は真っ先に避けるルート(特に畜産試験場周辺)。
道路設計も古くて国道の割には狭い。コーナーもトリッキー+基本40±10制限。大雨の後は路面が悪いことも多い。冬季は空いてるけど、比較的温暖な日でもガチ凍結しているため、絶対にバイクで行ってはいけない。
国道122 渡良瀬川沿い (上神梅~草木ダム)
ココの俺的ツーリングルートとしての評価は
道幅広さ 3
道路設計良さ 3
交通量少なさ 2
展望良さ 2
群馬から日光へ抜ける道路はココしかない(金精峠や鹿沼経由は遠い)。そのせいか年中混雑している。草木ダムまでは観光客も多く、シーズン土日は大渋滞が発生する。平日なら流れはスムーズだけど、ダム周辺の勾配がきつく、超大型車が居ると渋滞する。
2000年くらいまでは信号も少なく、ハミ禁区間も断続的だったはずだが、いつの間にか日光まで全てハミ禁になっていた。従って大型車が居たら延々50㎞も追走、排ガスを浴びなければならない・・・というか、ほぼ100%そうなる。
まぁ追い越し可だったとしても、抜いてもムダだ。すぐにまた大型が居る。だから全線ハミ禁になったのかもしれない。
肝心の景色は・・・これまたビミョー。集落を通る区間が多く、渓谷沿いの割にはあまり良くない。信号や右左折車も山間部の割には多い。従って個人的にはツーリングルートとして微妙どころか、できれば通りたくないレベル。
でもなぜか、バイクは多い。これは埼玉北東部あたりから最も近い山道で手軽な点と、昔の名残(会合場所目的)ではと思う。もし筑波山の2輪通行止が解除されたら埼玉栃木ナンバーのバイクは激減すると、俺は思う。
国道18 碓氷峠旧道(めがね橋~碓氷峠)
ココの俺的ツーリングルートとしての評価は
道幅広さ 2
道路設計良さ 2
交通量少なさ 3
展望良さ 3
関東屈指の峠道。近年は路面が大荒れ、バイク走行できる状態では無かったが、数年前になぜか全面改修完了。でも、線形改良は一切されずそのまま。あり得ないほどのトリッキーなコーナーが続く。
コーナーと勾配がキツ過ぎて、スポーツカー以外のクルマは20くらいで走っていることも良くある。バイクだと、かなりゆっくり走っているつもりでも、すぐに追いついてしまう。センターラインをはみ出してくるクルマも多いから、個人的にはバイクツーリングルートとして考えると、オフシーズン平日でギリギリ許容範囲かな。程度。
観光客が行くのは、めがね橋かその上の駐車場までだから、改修中や直後は長野側に行けば土日でも交通量は皆無だった。でも、去年あたりから交通量が激増した印象。なお、紅葉の時期は大渋滞が発生するため、バイクで行ってはいけない。
とりあえず、この3か所のデータを確認してみた。
昼間12時間交通量の許容値を考える
具体的データを見る前に、バイクツーリング目的での許容値はいくつなのか、基準値的なものを、考えておきたい。
仮に、クルマが全て時速60キロで走行していたとする。この時、1分間に進む距離は1㎞。車間距離1㎞で走っていたら、1時間当たり60台走れる。
これが上下線合わせて120台(上下全車の平均車間距離は500m)。この時の交通量は、朝夕ラッシュの増加分を考えると、12時間あたり最低でも13倍の1560台程度になると考えられる。
つまり、対向車が1分に1台以下を達成? するには、昼間12時間交通量が概ね
1500台以下
でなければならない。
倍の3000台になると、やや多いがスムーズ(対向車30秒間隔)、4倍の6000台を超えてくると景色を見る余裕は無いと思う(対向車15秒間隔)。
なお、専門的な事は一切知らんので、あくまで俺が考えた限りこうなった。という話。
実際の交通量を調べてみた(群馬編)
先程の3つの区間、国土交通省の調査結果は以下のとおりであった。
国道353 赤城南面区間 (溝呂木~クローネンベルク)
各地点の昼間12時間交通量(西から)
- 溝呂木(溝呂木交差点付近)
4348台(大型663台) - 上箱田(直線バイパス化されたあたり)
4021台(大型754台) - 皆沢(畜産試験場付近)
4927台(大型610台) - 中之沢(サンデン東側)
1345台(大型252台)
全区間4000台程度になってるけど、サンデン東側で激減する数値がリアルで納得。
国道353の実態を鑑みると、4000台という数字はバイクツーリング向きとはやや言い難い台数。ということが解った。
国道122 渡良瀬川沿い(上神梅~草木ダム)
各地点の昼間12時間交通量(南から)
- 上神梅(駅北側)
8301台(大型960) - 荻原(花輪駅付近)
4542台(大型704) - 沢入(ダム上流端)
2506台(大型505)
8000台~2500台。草木ダムを超えると一気に減るのが、これまたリアル。さすが国土交通省だ、精度が高い。
ここは俺の体感のとおり、大型車比率が高い。ほとんどの観光客は富弘美術館以遠には行かないから、ダム周辺まで4000台程度の交通量と予想できる(平日昼間)。
上神梅あたりの下流域では倍増(おそらく県道62からの合流)しているみたいだけど、体感で2倍という感じでは無い。4000台を超えてしまうと、あまり体感できないのかもしれない。
国道18 碓氷峠旧道(めがね橋~碓氷峠)
各地点の昼間12時間交通量(群馬側から)
- 原(バイパス分岐直後)
2240台(大型140台) - 坂本(場所不明、おそらく霧積ダム方面分岐の直後)
712台(大型24台)
俺の体感より交通量は少なめ。測定日が2015年の紅葉前の平日だからかもしれない。数値だけ見ればバイクツーリング向き(閑散期の平日)。
前述のとおり2016年に行ったところ、2015年以前より交通量はかなり増えていた。
そのあたりを差し引いて考えると、800台以下というのは、交通量皆無の道路にあたるようだ(対向車の間隔は約2分)。
実際の交通量を調べてみた(薩摩半島編)
4月にバイクツーリングに行った鹿児島の主要国道も調査してみよう。
参考
2017九州バイクツーリング 7日目 天草~阿久根~枕崎
国道3 東シナ海沿岸(阿久根~薩摩川内)
ここは、交通量が多すぎて景色を見る余裕など無かった(あくまで俺の体感では)。
大型車も多く、ひっきりなしに対向車がバンバン来る。片側2車線は欲しい感じ・・・というより、栃木だったら間違いなく片側2車線になってるだろうな・・・と、そんな感じ。ツーリングルートとして評価するのは無理。てか、ツーリングスポットではない。実際に、ツーリングマップルも東側の県道46が推奨されている。
各地点の昼間12時間交通量は以下のとおり
- 阿久根市大川(道の駅のあたり)
6387台(大型1171台) - 薩摩川内市水引町(水引ICのあたり)
11151台(大型2226台)
薩摩川内方面で1万台超え、しかも2割以上大型車。先述の国道122のデータと照らし合わせて、ざっくり乱暴に考えると、群馬-栃木間より熊本-鹿児島間の国道の方が混んでいるのだ。
国道270 薩摩半島西側(いちき串木野市~枕崎)
この区間はツーリングマップルだと「交通量少なくマイペースで走れる」て書いてある・・・んだけど、実態はハミ禁のトラック街道だった。
マイペースで走るのは不可能、もちろんツーリング向きでも無かった。北から数値を見てみよう。
- 日置市東市来町神之川(吹上浜北部)
4613台(大型506台) - 日置市吹上町永吉(吹上浜中部)
6164台(大型1102台) - 南さつま市金峰町宮崎(加世田市街地北部水田地帯)
5580台(大型638台) - 南さつま市加世田津貫(加世田市街地南部山地)
6381台(大型520台) - 枕崎市金山(市街地北部山地)
5045台(大型527台)
全区間、約5000台以上ある、大型車も多い。つまりトラック街道。
数値を見るだけで、いまいちバイクツーリング向きではない事は明らか。先月の記事でも書いたけど、やっぱり群馬より薩摩半島の方が混んでる。
実際の交通量を調べてみた(最高のバイクツーリング向け国道編)
俺が走ったことのある、ガラガラで超爽快に走れる国道のベスト5について、同じように調査してみた。
※全線センターラインのある、整備された国道に限る。
日本国 超ガラガラな国道ランキング(俺調べ、体感)
- 1位 国道275 北海道 朱鞠内湖周辺
- 2位 国道336 北海道 豊頃町~大樹町境
- 3位 国道451 北海道 新十津川村~石狩市境
- 4位 国道448 鹿児島県 錦江町田代~肝属町内之浦
- 5位 国道55 高知県 東洋町~室戸市境
上記区間の昼間12時間交通量のデータは以下の通り。
- 国道275 雨竜郡幌加内町朱鞠内(おそらく市街地寄り)
269台(大型106台) - 国道336 豊頃町・大樹町境
677台(大型254台) - 国道451 石狩郡当別町青山奥四番川(当別町境)
247台(大型39台) - 国道448 肝属郡肝付町岸良
701台(大型37台) - 国道55 高知県安芸郡東洋町野根(東洋町・室戸市境)
1246台(大型199台)
やっぱり、ダントツで朱鞠内か・・・この数値は地番を見る限り市街地のデータだけど、それでも269台(国道451青山奥四番川はあり得ないレベルの山奥)。湖畔東側は1日200台を切っていると思う。
国道336の交通量が意外に多い模様。通勤需要が有るのかも。あとは順当な感じかな・・・
まとめ
国道55の数値を見る限り、1500台以下なら大型車の比率が高かろうがあまり関係ないようだ。
旅先でツーリングルートを検討するとき、2車線以下で3000台を超えるようなら回避した方が快適か。
あとこのデータは、バイカーよりチャリダーの方が経路変更が難しい分、利用価値は高いかもしれない。道路幅員のデータも載ってるし。