2016年も山には雪が降り、今年のバイクシーズンは完全に終わった・・・。
バイクに乗れないこの時期、今のうちに北海道上陸までのバイクツーリングルートを考えておこう、という個人的メモ。
もくじ
■はじめに
■北海道行きフェリー航路一覧(関東近県)
■各航路スペック
■各港の中間地点(直線距離)を考える
■各港の中間地点(高速道路利用時)を考える
■各港の中間地点(一般道利用時)を考える
■各県から向かうべき最適な航路はコレだ(理論値)
■爽快に走れる限界距離を考える
■まとめ
※2018年2月更新。-注意-フェリーは天候や時期などにより運用が変わりやすいため、出発前に各社webサイト最新情報の確認必須。
はじめに
群馬県は、渋滞回避や運賃の関係から新潟港経由にメリットがある事はほぼ確実(冬は違うけど、冬にバイク乗らないし)。ということで、俺は新潟ルートしか利用したことが無い。
でも、新潟港ルートは北海道の到着時間が早朝すぎてイマイチ・・・。それに他の航路(仙台港)も使ってみたい。
ここらで再度、関東近県からの各航路の利便性なども含めて検討してみよう・・・というのが今回の記事。
ただし、居住地の関係上、どうしても情報が北関東寄りになってしまう。そこは、お察しで・・・。
北海道行きフェリー航路一覧(関東近県)
関東近県発の北海道行き航路には以下の4つがある
- 仙台港⇔苫小牧港 (太平洋フェリー)
- 新潟港⇔苫小牧東港 (新日本海フェリー)
- 新潟港⇔小樽港 (新日本海フェリー)
- 大洗港⇔苫小牧港 (商船三井フェリー)
2018年2月現在、大洗港は一日2便。他は1日1便。
各航路について考えてみよう。
新潟港→小樽港の航路
このルートは、あまりバイクツーリスト向けではなかった。※
2016年はこのルートを利用した・・・が、どうにもダイヤが微妙。新潟を朝に出発するため、朝ラッシュの新潟市街地を走らなければならない。その前に着くようにすると、時間を潰すのが困難。そして、深夜に荷物満載バイクを長距離走行しなければならないこともマイナスポイント。
小樽の到着時刻(朝4時半)がこれまたビミョー。小樽は早朝に店なんてほとんど開いていない。札幌方面に向かうにしても、このあたりの道路は北海道感が全く無くツマラナイし、札幌圏の早朝ラッシュ(大型主体のヤツ)にも巻き込まれる。
渡島半島方面に行くなら仙台か岩手あたりで一泊して青森経由にした方がいいだろうし・・・。
ということで、俺はバイクで二度とこの航路に乗らないと誓った。ただし、上越新幹線と路線バスがフェリー接続を考慮したかのようなダイヤとなっているため、鉄道との乗り継ぎ利用者向けとしては最適かも。小樽港も駅が近いし・・・。
他には、深夜に関東南部から新潟まで一般道を走破したいケースが考えられるけど、けっこうヤケクソだよね・・・ソレ。
※2017年新型船就航。ダイヤ変更で利用しやすくなった。詳しくは「宿泊費ゼロで行く北海道バイクツーリング2017-2日目」「宿泊費ゼロで行く北海道バイクツーリング2017-1日目」あたりで。
大洗港→苫小牧港の航路(深夜発の便)
乗船したことは無いけど、これもバイクツーリスト向けではないと思う。
理由は、運行ダイヤ。
特に苫小牧港の到着時刻が良くない。20時前に到着し、最寄りのライダーハウスに向かうのは、よほどの常連でなければ不可能だし、キャンプ場はもっと厳しいだろう(北海道の夜は本当に真っ暗で設営は厳しい、というか迷惑)。
このためどうしても初日は、苫小牧市街地のホテル宿泊が前提になってしまう。昼間フェリーで寝ているのに、更にホテルで寝るプラン。これで、片道丸2泊消費するのは時間効率が悪すぎる。
まぁ、仕事終わりに大洗に行って乗船、到着後そのまま深夜に道東まで走って、朝日を見るんだっ!っていう人も居るかもしれないけど・・・・北海道の道路を深夜にバイクで走るのは危険すぎる(野生動物との衝突)から、俺は止めた方が良いかなーと・・・。けど実際に居そう・・・稚内まで一日で走っちゃう人、けっこう居たし・・・。
各航路スペック
先ほどの2つを除く
- 仙台港⇔苫小牧港(太平洋フェリー)
- 新潟港⇔苫小牧東港(新日本海フェリー)
- 大洗港⇔苫小牧港夕方便(商船三井フェリー)
残り3つ。これらの航路について、更に深く考えてみよう。
運賃は特に記載が無い場合は、ベッド最低料金+バイク(126cc~400cc)、通常期の運賃。
仙台港-苫小牧港
出航時刻 19時40分
到着時刻 翌11時00分(約15時間)
片道運賃 16500円(「きたかみ」B寝台)
「きそ」と「いしかり」のB寝台は1100円増し、しかし公式サイトによると上下セパレート式ベッド。
割増期間はGW、7月下旬~8月下旬、年末年始。最大25%増程度と良心的。3社の中では最も割引が充実していて、最大片道10000円程度(同上の条件)~になる。
北海道で会った関西人の話によると、名古屋から1万チョイのプランが有るらしい(原付)。航行時間も短く新潟港代替案の最有力候補。夜19時40分発~翌11時00分に到着、というのが最大のメリット。
新潟港→苫小牧東港
出航時刻 23時5分
到着時刻 翌17時20分(約18時間)
片道運賃 14520円(750cc以下、ツーリストB)
苫小牧東港は苫小牧から20km以上離れていて周囲に何もない。それが逆に北海道感を味わえて◎。
割増期間はGWと7月中旬~8月下旬。割増率10%程度~最繁忙期には50%を超える。
この航路は割引制度がショボい。唯一使えそうな往復割引も2週間以内のみ適用。クルマなら旅行会社のパック商品があるらしいけど、バイクは無いようだ(情報求む)。まぁ、通常期の寝台は半個室状態だし、仕切りの配置も良く安眠度は高い。ソレを考えたら割引無くても十分安いと思う。
※2017年旧小樽航路のらいらっく/ゆうかりが転籍就航。2018年2月現在、夏以降の運行ダイヤ及び運賃未公開。
大洗港→苫小牧港
出航時刻 19時45分
到着時刻 翌13時30分(約18時間)
片道運賃 24640円(400cc以下、コンフォート)
とにかく運賃が高い。割増期間も長い。学生の連休時期は全て割増期間になっている。約5%~50%割増の4段階、ただし加算は旅客運賃のみ。
この便はバイクの運賃が高い。特に400cc以上超えは激高。バイクのみで新潟航路の総額並になってしまう。解放型の2段ベッドは廃止されたようだ。北海道で会った人の情報によると、何らかの割引キャンペーンがあるらしい(詳細不明)。
※2017年新型船就航。1時間ほど運行時間が短縮。しかし相部屋2段ベッド廃止された結果、ベッド運賃(コンフォート)が更に値上げ。新潟航路との差が10000円に・・・。
各港の中間地点(直線距離)を考える
各地域から最も近い港はどこなのか、線を引いてみた。
仙台港と新潟港
直線距離 約174km
中間地点 山形県長井市中心部(山形市から西へ約30Km)
ここから南へ中間地点を探っていくと以下のようになる。
長井市-米沢市-安達太良山西麓(100km)-天栄村-矢祭町-常陸太田市(200km)
新潟港と大洗港
直線距離 約225km
中間地点 黒滝股山付近(南会津町南方約20km栃木福島県境)
東西に中間地点を探っていくと以下のようになる。
東から
郡山市-天栄村北部-黒滝股山-男鹿高原駅-片品村-高山村(150km)-軽井沢町-岡谷市(225km)
大洗港と仙台港
直線距離 約222km
中間地点 川内村南部(役場南方5km)
同じように以下のラインになる
楢葉町-川内村南部-小野町-郡山市南部-会津若松市南部-金山町(160km)
文字だとイマイチよく解らないから、地図に書いてみたらこーなった。
破線が中間ライン
3つの港は、ほぼ2等辺三角形の配置。中点は郡山市と猪苗代湖の中間付近。単純に距離だけを考えると、大洗港がほぼ関東全域をカバーしている(群馬北部を除く)。
・・・しかし、福島県境に近い栃木北部や茨城北部などから、わざわざ南下して大洗に向かうというケースは考えにくい(細点線のライン)。
各港の中間地点(高速道路利用時)を考える
次は実際の走行パターン、高速道路の利用距離ベースで考えてみる。
仙台港と新潟港
磐越道
磐梯熱海IC(140㎞)
東北道
岩船JCT付近の栃木寄り地点(285㎞ 以南の東北道は全て新潟港が近い)
外環道
草加付近(335㎞)
首都高速
小菅JCT付近(340㎞ 荒川以西は全て新潟港が近い)
新潟港と大洗港(友部JCT経由)
磐越道
阿武隈高原SA付近(170㎞)
東北道
矢吹IC(磐越道経由190㎞ 北関東道経由200㎞)
関越道
赤城高原SA付近(190㎞)
上信越道
東部湯の丸IC付近(250㎞)
中央道
諏訪IC付近(310㎞)
大洗港(友部JCT経由)と仙台港
常磐道
いわき四倉IC(140㎞)
磐越道
小野ICと阿武隈高原SA中間地点(165㎞)
阿武隈高原道路
福島空港IC(180㎞)
東北道
白河中央IC(175㎞)
関越道
長岡JCT付近(325㎞)
同じように線を引くと、こーなった。
実線が中間地点。
大洗の不便さが目立つ。原因は常陸那珂有料道路が常磐道と接続していないから。これにより北方向のアクセスが非常に悪くなっている。北関東道もルートの直進性が低く遠回りになる。従って、関越と東北道の中間点は15~20㎞ほど南へズレる。
この影響は栃木北部と群馬中部に大きく出る。
例えば、群馬中部で考えると・・・前橋の居住者は、新潟方面へ行くときに前橋ICはあまり使わない(前橋ICはなぜか高崎市内にあるから)。だから、新潟寄りにある、渋川ICか赤城IC(または駒寄スマート)を使うのが一般的。同じように大洗方面に行くときにも伊勢崎IC(又は駒形IC)から乗ることが多い。
前橋北側の地域(両毛線以北)や高崎北部(旧箕郷町、群馬町)から市街地を横断して伊勢崎に行くのはメンドクサイけど、赤城や渋川へ行くのは比較的容易。従って群馬中部から大洗港を選択しても、あまりメリットは無い。まー、クルマで割引使えば多少メリットはあるかもしれないけど・・・バイクは無いと思う。
各港の中間地点(一般道利用時)を考える
一般道の利用距離ベースで考えた、各港の中間地点は・・・
仙台港と新潟港
国道113号 南陽市西部(115㎞)
国道115号 猪苗代町北部(135㎞)
国道289号 西郷村(175㎞)
国道4号 大田原市国道400号との交差点(210㎞)
国道293号 那珂川町役場付近(225㎞)
国道123号 茂木町付近(250㎞)
新潟港と大洗港
国道49号 磐越熱海IC付近(150㎞)
国道289号 下郷町南東5㎞付近(150㎞)
国道121号 会津田島駅付近(155㎞)
国道17号 月夜野IC付近(195㎞)
国道292号 草津温泉(225㎞)
国道144号 田代湖付近(230㎞)
大洗港と仙台港
※浜通りは放射能汚染によりバイク縦断不可
国道349 風越峠付近(140㎞)
国道4号 郡山市街地南部(135㎞)
国道294号 猪苗代湖西部(160㎞)
国道118号 芦ノ牧温泉駅付近(175㎞)
国道252号 会津水沼駅付近(205㎞)
同じくこうなる
新潟港が不利。これは新潟県境地域の山地を貫通する道路が少ないから(実質2か所のみ)。宮城県境も少ない。それぞれ15㎞ほど北に中間点が移動する。
しかし、一般道の距離を単純に比較することにはあまり意味が無い。関東平野北部を突っ切る一般道は交通量も信号も多い。移動速度はかなり低下する。峠道なんて道路状況によるから、単純に距離を比較するのは無意味。
各県から向かうべき最適な航路はコレだ(理論値)
これらの距離と運賃などを元に最適なルートを考えてみた。
費用対効果で考える
まず、結論から言ってしまうと費用対効果(コスパ)だけを考えたら・・・
ほぼ関東全域が新潟港有利
なぜなのか・・・
最も重要なポイントは大洗航路の運賃が高すぎること。
通常期運賃を新潟航路と比較すると仙台航路は2000円~3000円増し、大洗航路は10000円増し。10000円の差はデカイ。ガソリン代でこの差を埋めるのは困難(バイクなら2000㎞は走れる)。費用削減のために大洗港へ行くメリットは全く無い。
更に大洗航路は航行時間が長いこともマイナス。最短の仙台航路と比較すると、新潟航路、大洗航路共に3時間増し(新造船運行前は4時間)。3時間の差はデカイ。水戸から高速に乗って3時間走れば仙台まで着いてしまうことを考えると大洗航路に速達性を求めるのは厳しい。従って大洗港より少しでも北にある地域(特に栃木福島県境など)から出発する場合、大洗航路を選ぶメリットは無くなる。
これらと、新潟航路の最安運賃を考えると・・・大洗港と新潟港の中間付近(群馬南部、埼玉西部、長野南部など)から出発するのであれば、大洗港に行くメリットは全く無い・・・というより、御殿場-新潟の高速通行料は7000円台(バイク)だから、関東南部の通過リスク(渋滞や事故など)を考えたら関東西部(多摩、山梨、神奈川など)も新潟港の方が有利・・・いや、東京、千葉、茨城南部も新潟港の方が有利ということになってしまう。
つまり、ほぼ関東全域が新潟港有利・・・となってしまう。
・・・が、
関東南部から新潟はさすがにダルイ
やっぱり、ルートを選ぶときに重要なのは距離と金額だけじゃないだろう・・・ダルイかラクか。これも重要。
極端な例で言ったら、大洗に住んでいる人が、いくら安かろうが、トータルで速かろうが、仙台や新潟まで行くのだろうか。でも、土浦ならどうか?守谷だと?
茨城県民にも係わらず、「一般道走行で仙台航路から来た」と言う人が北海道には確かに居た。彼は「意外に仙台近いっすよ」みたいなことを言っていたけど、それはさすがに一部のブッ飛んだバイク乗りの意見であって、普通は実行しない。
じゃぁ、どのくらいまでなら許容されるのか。俺個人的な考えだけど、郊外の一般道は平均45㎞/h程度進めるとして、6時間+休憩2時間で1日270㎞が限界じゃないかなー・・・と思う。
これは、朝ラッシュの終わる9時から夕方ラッシュの始まる17時まで走ると、丁度8時間になるから、という理由が大きい。
高速道路走行の場合はどうだろうか?
荷物満載バイクだと90巡行というのが現実的な数字だと思う。この場合5時間+休憩3時間の450㎞が限界になる。一般道より走行時間が短いのは、休憩するから。高速道路の休憩施設というのは二輪向きではないところが意外に多いし、デカイSA以外は椅子が無くてリラックスできないところも良くある。
何より高速道路の連続走行は飽きる、集中力が続かない。だから休憩は多くなる・・・というより、多く休憩しなければならない。仕事でバイク乗ってるんじゃないし、休憩不足でコケて死んだらアホの極みになってしまう・・・。
爽快に走れる限界距離を考える
前述のとおり、一般道を270㎞、高速道路を450㎞走ると各港からどこまで到達するのか。
計測したら以下のようになった。なお、大洗港は270㎞走ると関東から大きく逸脱するため省略。
450㎞高速に乗ると、バイクの通行料は8000円前後になる。
一般道の場合
仙台港から270㎞地点
水戸市-桜川市-下野市-鹿沼市-日足トンネル-いろは坂-桧枝岐村-大白川駅-三条市-新潟市間瀬
新潟港から270㎞地点
水戸市-桜川市-下野市-栃木市-佐野市-熊谷市-寄居町-南牧村(群馬)-小海町-塩尻市-高岡市
(会津経由と魚沼経由の中間点は佐野市付近)
高速道路の場合
仙台港から450㎞地点
館山市-御殿場市-富士吉田市-甲州市勝沼-上田市-中野市-親不知
新潟港から450㎞地点
館山市(京葉道路経由)-富士市-小牧市-岐阜市-敦賀市
なんと、
千葉の館山は岐阜や敦賀と新潟港からの距離が同じ。
このことから、際立つのは房総半島の不便さ。アクアライン首都高経由からの関越-新潟や、京葉道路首都高経由箱崎Uターンからの常磐道-仙台や、茂原からつくばJCTへのジグザグ高速道路走行からの常磐道-仙台などはちょっとあり得ないと思う。
まとめ
以上のことから・・・関東近県から北海道へのバイクツーリングへ向かうルートは・・・
東北道より東の地域 →仙台港へ
東北道より西の地域 →新潟港へ
千葉(房総)県民と茨城県民の一部 →大洗へ
関越と東北道に挟まれた地域は・・・
体力と財布に余裕有 →東北道で仙台へ
体力はあるが財布に余裕無 →一般道+関越で新潟港へ
行くと「ラク」。
多摩と神奈川はどこ行っても「ダルイ」から、好みで・・・。
・・・とこんな感じになった。
個人的には、東京港から釧路へのフェリー航路が欲しい・・・まぁ出来ても軽く30000円は超えるだろうから・・・無理か。
群馬から仙台港を使うルートを選ぶ場合、高速を利用すればメリットは有りそう(割引利用前提)。福島あたりまで高速に乗って一般道と併用すれば、南東北ツーリングと組み合わせて良い感じになるかもしれない。来年やってみようかな。仙台港ルート・・・