車検の時にやる、自動車の法定24ヶ月点検。
いまだに、「整備工場に出さないとダメ」だと思ってる人が居る。
自分でやっても全く問題無いんだけど・・・そういう話をすると、屁理屈でゴネてくるめんどくさい人がいる(道路運送車両法と道路交通法の区別がついてないイタイ人とか)。
てことで、根拠をメモっておいた。
もくじ
- はじめに
- 道路運送車両法
- 国土交通省令で定める技術上の基準
- 分解整備の場合も同じ
- 点検できない人に運転免許は発行されない
- まとめ
※文体、リンク等は気づき次第修正。最終更新2021年2月。
はじめに
最も重要なのは、自動車の法定点検とは何が「法定」(法で定められている)なのか、という点。
これは、道路運送車両法で定められている。
具体的な条文、点検整備の義務(第4章47条)を見てみよう・・・
道路運送車両法
(使用者の点検及び整備の義務)
第四十七条 自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。
はい、ここ見たらほとんど解決ね・・・点検は誰に義務があるのか、はっきりと書いてある。
点検義務は、「使用者」にある
更に、見てみよう・・・
(定期点検整備)
第四十八条 自動車(略)の使用者は、(略) 国土交通省令で定める技術上の基準により自動車を点検しなければならない。
中略
三 前二号に掲げる自動車以外の自動車 一年
↑いわゆるフツーの自家用乗用自動車のこと
要は、「使用者」が「国土交通省令で定める技術上の基準」で点検すれば整備工場に出さなくても全く問題ない
・・・てか、原則として使用者が点検しろと国は言っているのだ。
国土交通省令で定める技術上の基準
具体的な点検の方法については「自動車点検基準」という省令があって、ここに詳しく書かれている。※
第二条
中略
四 法第四十八条第一項第三号 に掲げる自動車(二輪自動車を除く。) 別表第六
五 法第四十八条第一項第三号 に掲げる自動車(二輪自動車に限る。) 別表第七
この別表を見ると 「1年ごとに点検をして、2年ごとに詳細に点検してください」 と書いてある。
また、道路運送車両法では
(点検整備記録簿)
第四十九条 自動車の使用者は、点検整備記録簿を(略)記載しなければならない。
とも記載されている。従って当該整備の記録も義務になっている。
・・・その先をどんなに読み込んでも、どこにも整備工場でやらなきゃダメとは書いていない。先にも書いたけど、基本的に「点検は使用者が行う」ことになっているから当たり前だ。
ちなみに、こういう点検記録簿的なヤツを、買う必要は全く無い↓
なぜか気づいてない人がたまに居るけど、12/24ヶ月点検記録簿は、車検証と一緒に入ってる保証書(又は車両取説)の末尾に付いてる。付いてこなかった中古車は、他の車体(前の所有車等)のを使えばOK。俺はそれで何回もユーザー車検通してる。
※詳しくツッコまれると困るけど補足。この国の法律は階層構造になっている。具体的には、日本国憲法→国際条約(国家が決める)→法律(国会が決める)→政令(内閣が決める)→省令(大臣が決める)=施行規則(長官が決める?)、みたいな順序。基本的に、上の命令は細かいところを明記せず、下の命令に丸投げしている。
分解整備の場合も同じ
点検ではなく分解整備の場合はどうなのか。道路運送車両法には以下のように書いてある。
第四十九条
2 自動車 (略)の使用者は、当該自動車について分解整備 (略)をしたときは、遅滞なく、前項の点検整備記録簿に同項第三号から第五号までに掲げる事項を記載しなければならない。ただし、前条第二項において準用する第四十七条の二第三項の規定による必要な整備として当該分解整備をしたとき及び第七十八条第四項の自動車分解整備事業者が当該分解整備を実施したときは、この限りでない。
分かりにくいけど・・・要は分解整備すらも使用者が行う事が前提となっているのだ。しかも分解整備事業者は但し書き扱いである。
だから、極端な話、
車検が通れば自分の車なら自分で何をやってもオッケー
なのである。
ここで、
「専門家ではない人が点検整備をするのは現実的ではない」
「公道を走るのだからきちんと整備しないと危ない」
とか言う人がよくいる。
確かに、何の知識もない素人が重整備すると危ないと思う。ある程度の勉強は必要だろう。しかし、点検については別だ・・・なんせ、
点検できない人に運転免許は発行されない
からだ・・・そもそも、今時の車は「点検」をしても、「整備」に至ることはほとんどない。点検だけだったら誰でもできる。というか、建前上まったく点検できない人に運転免許は発行されないので、運転免許が取れるくらいの知識レベルなら点検はできるはず。いや、できなければ運転をしてはいけない(ことになっている)。
具体的事例を考えてみよう・・・たとえば、自動車点検基準(これを一覧化したものが、整備記録簿である)によると
「かじ取り装置 ガタとブーツ切れとオイル漏れを見る」
と書いてある。
ガタは使用していれば普通は気づくだろう。だから誰でも点検できる。(これに気づけない人は車を使用する資格はない)
ブーツは今時10万km未満では滅多に切れないし、切れたらグリスが飛び散るので解る。
オイル漏れに至っては、イマドキ油圧PSの車なんてほとんど無い。
他の項目も、用語が解ってれば見るだけは簡単だし、省略できる部分もかなり多い。確かに見て異常があれば「整備」か「調整」しなきゃダメだ。でも、イマドキの新車は10年10万km程度で壊れるとこなんかほとんど無い(参考過去記事)。たいてい点検で終わってしまう。
整備だって、部品交換だけだったら工具があれば誰でもできる。調整は経験が無いと難しいけど、イマドキ調整が必要な部品なんて、サイドブレーキくらいしかない(キャブ、ディスビ、Vベルト廃止。可変バルタイ、油圧タペット採用。など)
はっきり言って最近は自動車より情報家電の方が難解。車の整備(というか交換)より、スマホの操作をしっかり覚える方が難しいと個人的には思う。
まとめ
まぁ、そんなわけで自分の車は自分でガンガンやっちゃっても法的にはまったく問題無いんだよね。
てこと。
ちなみに俺は今まで、延べ40台くらい所有していたが、趣味性の無いクッソどうでも良いクルマ(軽トラやゲタ車)は業者に車検を出しちゃう派である。
自前点検+ユーザー車検をやれば安くなるみたいに言うヤツがたまに居るけど、アレは完全なる間違いだと思っている。後整備申請してシカトするヤツなど論外だ。
DIY(ユーザー車検)は、基本やりたいからやるのだ。
業者に持っていくと断られるような、やりたいようにイジリすぎて超メンドクサイクルマはユーザー車検した方が良いが、フツーのクルマでは手間や時間を考えたらたいして安くなどならない。
昔はイチゲンで行くと意味不明な見積もりなど平気で出されたものだがイマドキ、口コミや評価システムがあるので・・・もはやぼったくる店などまず無い。
ちゃんと「最低限で」と強くお願いすれば、軽自動車で総額4、5万程度あればやってくれるから・・・(当たり前だがぶっ壊れて無ければ)。