群馬の世界遺産(地味) 田島弥平旧宅へバイクツーリング

群馬には地味に世界遺産がある、県民としては行っておかねばなるまい。

てことで行ってみた。おそらくは、日本で最も地味かつ、基本無料な世界遺産、田島弥平旧宅へ。

もくじ

  • 地味な世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」
  • 伊勢崎市境島村へ
  • 田島弥平旧宅案内所
  • 田島弥平旧宅
  • まとめ

tomiokaseisiガチな渋沢栄一案件だった

地味な世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」

群馬には世界遺産がある。でも実に地味だ・・・これはたぶん、価値がヒジョーに解りづらいからだ。

そもそも文化遺産というのが解りづらい。おまけに外人を呼んで作った工場というポジションも日本建築の寺院などに比べ、一見価値が低いような気がする

特に本件は場所が離れまくっている。寄せ集めて強引に申請したっぽさを完全に否定できないところもイタイ。

その距離は、田島弥平旧宅から富岡製糸場まで約32km、荒船風穴まで約54km。一般道の走行距離は最大で片道70kmにもなる。

別の世界遺産である富士山の距離感を例にすれば、富士宮市役所から富士吉田市役所が直線距離で34km、西回り一般道で約50kmにすぎない。70kmは明らかに遠すぎる(しかも市街地)。

上記理由から、俺はこの世界遺産に対し懐疑的であった・・・が、今回訪問した結果、以下のような見解に変化。

「現状、田島弥平旧宅の価値は微妙だが、保存することに価値がある」んじゃないかなー・・・と。

あと、渋沢栄一はとにかくスゲー

※文化遺産は不動産自体ではなく「文化」、そこに住む人々が居ることによって価値が継続及びアップするものなのだ。



伊勢崎市境島村へ

利根川の橋を渡り、ほぼ埼玉の中にある群馬へ向かう。

田島弥平旧宅がある境島村地区は、利根川によって北部と南部に分断されており、南部は埼玉からのみアクセス可能(一応、無料渡し船も有る)。従って埼玉の中に飛び地のようになっている(妻沼小島地区と逆のパターン)。

とりあえず上武大橋へ・・・この橋、1934年建設の戦前規格の橋であり、大型車離合困難のためか交通量は極めて少ない。というより、この橋自体が既にけっこうな遺産のような気がする(現在新橋建設中)。

橋を渡り群馬から埼玉に入ったら即右折。地名表示が群馬県に戻る。このあたりは古い建物が多く、異質な感じ。

世界遺産への案内看板は小さく見づらい。観光地にする気があまり無いことを容易に読み取れる。5分くらいバイクで走行・・・適当にソレっぽいところで右折。なお道は狭め。

土手が公園のようになっていた。土木工事業者の人と警備っぽいジイサンがいたけど、他に観光客一切ナシ。さすがドマイナーな世界遺産、田島弥平だ。

看板によると隣の小学校の先に案内所があるもよう。そちらへ向かう・・・

・・・更に道が狭い。観光地として整備する気は全くないらしい。これは高評価だ(規格通りの観光地は超つまんねーから)。

田島弥平旧宅案内所

案内所は小学校の隣・・・というか、同じ敷地にあった。

どう見ても小学校の教員用駐車場にしか見えない駐車場に入ると、これまた、どう見ても公民館にしか見えない建物がある。これが、案内所らしい。

人の気配はない。平日とは言え観光客ゼロの世界遺産は、世界でここだけかもしれぬ・・・

早速、公民館・・・ではなく案内所の網戸を開けると、おっちゃんが出てきた。人がいたらしい。「宿帳みたいなの書いて入って」とおっちゃんは言う。

そして、おっちゃんが手動で紹介ビデオを流し始めた。いや、まぁビデオはどうでもいいんだけどな・・・ビデオは流し聞きしながら館内の展示物を見る。

・・・繭が着いた仕切り板みたいなやつが展示されていた。あー・・・こんなん、昔伊勢崎のばーちゃんちのバラックに落ちてたなぁ・・・

的な感じで、パネルの説明を読む。説明書きにある木版印刷の原板が直下に置いてあったり、100年前の顕微鏡があったりと、無料で規模が極小の割には地味だがまとまっている。展示クオリティは意外に高い。

しかも、おっちゃんが色々と説明してくれる。誰もいないから好きなように聞き放題である。

いやー、ここすごいな。観光地感ゼロだ。金を取る気もゼロ。田舎の図書館テイスト。近所のおっちゃんとチャーしばきながら話す感じで説明してくれるあたりがナイス。(当たり前だが茶は出ない)

んで、話した結果、解ったことがある。

俺は田島弥平の事を勘違いしていたらしい。彼は絹を取るためにカイコを育てていたのではなかった

カイコそのものを売っていたのだ。要はカイコ商人である。しかも、渋沢栄一と三井財閥がバックについていたもよう。

明治初期に個人で金を借りて、イタリアに直売しに行っちゃうとか、スゲー気合だ・・・

そして直売をやりだした理由が、売価を釣り上げるため在庫調整(廃棄)する横浜の商人にムカついたから、というのもナイス。田島弥平、アツい漢である。

田島弥平旧宅へ

まず、最初に言っておきたい。

田島弥平旧宅に直接行くのは止めた方が良い。

一見ではなく、リアルに単なる民家であり、人が住んでいるから生活感がハンパなく、とても入れる雰囲気ではない。

しかも案内看板がほとんど無い。案内所で話を聞かないと、どこに駐車したらよいか、どこまで人の家(入って良いのか)かなど、全く解らない。

ちなみにバイクとチャリは門前に止めてOK。クルマは駐車以前に集落への進入禁止。土手の公園か案内所に止めてくれ。との事。実にバイクツーリング向きである。

今日は、庭にある桑場に入れるらしい。てことで入ってみた。

・・・これは・・・単なる田舎のバラックですな。

稲わら満載積んだ軽トラがありそうな雰囲気の中、古い農機具などが置いてある・・・実に地味。ここには団体客がいた。

一周サラっと見て終了。

まとめ

俺は確信した。これが正しい世界遺産だと。

地元民の保存に対する姿勢が大事なのである、地元愛である。

やはり、世界遺産は体験(鑑賞)に原則、金を取ってはイカンと思う。絶対に後世に残すべきという確固たる普遍の価値があって、保存活動を実際に行う人が居るのであれば、維持管理は全て税金で賄うべきなんである。

そしていつでも誰にでも無料で見せるべきだ。

異論はあるかもしれないが、税金の投入に異議が出るようなものには、そもそも世界遺産の資格なんて無い

また、観光客が増えた(増やす)からといって、自然の中に大駐車場や巨大木道を作ったりするような、某世界自然遺産に対する地元住民の姿勢は極めて疑問だ。

そんな事をするなら、初めから入場規制をすればいいではないか。

自然遺産を見るために、ごく一部の自然をぶっ壊して大駐車場を作りました!ドヤァー

ってゆーのは、

世界平和のためにごく一部の戦争犯罪者をぶっ殺して民主政権を作りました!ドヤァー

って言ってるのと大差無いと思うのである。

ここは、住んでる人が熱心に保存活動をしていると感じられる。活動には金がかかるはずだが、観光的な手段での金を取る方向にはしていない。これはエライ。

と言いつつも・・・まー、補助金は出てるのだろうけど。

しかしながら、観光客へのサービスは最小限にとどめ、保存活動を行っている彼らには多少の税金を投入してもいいんじゃないかな~・・・

などと考えつつ、バイクにまたがりマッタリ走行して帰還するのであった・・・

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