クルマやバイクの価値を改めて考えてみた

最近、若者のクルマ離れとか言われてる・・・が、俺はソレは当たり前だと思っている。そもそも、根っからのクルマ/バイク好きなんて、元から少ないでしょ・・・

生活スタイルの変化により、道具としてクルマ/バイクの価値(主に移動手段)が失われているから、みんな買わないんじゃないのか?

・・・ということで、改めてクルマ/バイクの価値とはなんなのか?

所有者(買う人)のタイプ別に考えてみた。

もくじ

  • はじめに
  • 価値タイプ1 コレクター
  • 価値タイプ2 ドライバー、ライダー
  • 価値タイプ3 メカニック
  • 価値タイプ4 移動したい人
  • 他タイプやさらなる細分化 など
  • まとめ・・・というか考えたこと

はじめに

乗ってない人(特に都会人)は、所有者が全員「好きで乗ってる」と思ってるフシがある。確かに1990年代くらいまでは、正にその通りだったかもしれない。しかし、最近はどうも違う。

もはや好きじゃないけど乗ってる人って実はメチャ多くない?

コレ、「好きで乗ってる」ということにしておいた方が、何かと都合が良いのか、あまり公には言及されない(たぶん、マイカーに対する超高額な課税根拠が破綻するから)。

本当に好きで乗ってるなら良いけど、どう考えても、そうじゃない人が明らかに居る。というか、根っからのクルマ/バイク好きって潜在的に少ないよね?(詳しくは後述)

ここ数年は特に、クルマやバイクになど、もはや興味など無く、他にもっと金を使いたいけど、惰性や慣例でしかたなく乗ってるとしか思えない人が明らかに多くなったように思う(特に公共交通機関が破壊された地方都市)。

コストとリスクを考えたらアホくさい乗り物

小型バイクですら、年間1万㎞以上乗らないと移動コストは20円/km以上になってしまい、JRの運賃(18円/km前後)より高い。

参考→ バイクの維持費を考えてみた話

年間数千㎞しか走らない2000ccクラスのクルマなんて、100円/km超えてもおかしくない。

こんなの、運転中に事故るリスクを考えたら経済性など微塵もない。この「リスク」というのは特に重要で、巻き込まれる前は誰でも「便利でサイコー」だから少々割高でも全く問題なく乗って(買って)いる。

けど、一回でも事故を経験したら、乗るのが嫌になるのがフツー。バイクなんて、超大好きなごく一部の人(俺とか)以外は二度と乗らないことも多い・・・

従って、買う(乗る)理由は、クルマ/バイクがどんだけ好きなのか。突き詰めていくと、この点に集約する。(当たり前だけど、運送業は別)

クルマが無いと不便という理論はオカシイ

こういうこと言うと良く、「クルマが無いと不便だから」という理論を展開する人が居る。でも、よく考えるとこれはオカシイ。

確かにクルマは有ると便利だけど、不便なのはクルマが無いからじゃない(必要条件と十分条件てヤツか?)。極端な話をすれば、不便だと思ってるのはクルマ以外の選択肢を自ら放棄してるからじゃないのか。

マイカーの運行には莫大な金がかかるけど、そんなに金使うなら、不便はクルマ以外の手段でも解消できるのではないか。クルマは一つの手段でしかない。

この、不便を解消する手段(主に通信回線)が大幅に増えた昨今、「便利」という価値が相対的に低下しているのは間違いないと思う。

2018年現在、ドイナカの大多数の人は「便利(必要)だから乗ってる」と言い張る。

けど、ぶっちゃけ「クルマって別に高い金払ってまで得る便利じゃないよな」、てことに都市の若者は気づいている。

いや、既に都心部では年配者でさえそうなってきている。先日NHK見てたら、そう答えてるジイサンが居たので、これは紛れもない事実だ(俺はこの情報、既に5年くらい遅いと思うけど)。

ここ最近は、ドイナカの群馬ですら目に見えてチャリや歩行者が増えているのがその証拠。



クルマ要らね論に転ずるのは、もはや時間の問題

ドイナカでさえこの始末。みんなが一気に「クルマ要らね」論に転ずるのは、もはや時間の問題だと俺は思う。

この国は大都市のトレンドが5~10年後に地方に波及する構造になってるし、大都市の需要が無くなった産業が、人口規模で遥かに劣る地方で維持できるはず無いんだよな・・・

最近の中古車高騰はコレが原因(田舎は乗りつぶす)だろうし、作りまくった地方の道路の維持費とかどうすんのかなと、いつも思う。

でも、クルマやバイクにはコストとリスクを跳ね返す魅力と価値があるのも事実。これを追求しない限り業界に未来は無い・・・

てことで、前置きが長くなったけど、そのあたりを改めて考えてみた。という話。

価値タイプ1 コレクター

外観や存在自体が好きという需要を満たす。

芸術的、官能的価値を求める人。専用屋根付きガレージや保管庫を建築する。

動態保存しないと意味ないから、超超超金がかかる。金持ちかつ好きな人でないと不可能な一部特権階級的なジャンル。

でもコレが、典型的なクルマ/バイク好きだと思っている人が多いし、メディアはコレに誘導するフシがある。ぶっちゃけ儲かるからだろう。

一般人でも、田舎なら一見できそうな感じがするけど、実際にやってる人は非常に少ない。

90年代あたりまでは、メディアがバンバン煽ってたから、皆カッチョいいクルマやバイクを意味なく買い漁っていた・・・。

昔、寺の住職とか漫画家が、オキニのキャバ嬢に自慢のマイカーを運転させて競争するテレビ番組とか、スゴかったよなぁ・・・

価値タイプ2 ドライバー、ライダー

乗る(英語で言うと driveとかride的な)のが好き。乗りまわすこと自体に価値がある。

クルマだけでなくバイクも好きな事が非常に多い。てか、操縦するジャンルが好き。スノボーとかサーフィンが好きな人も居る。

乗りまくっているうちにテクニックを追求しだして、サーキットに行ったりする。

そのせいで、距離メーターが凄まじい勢いで加算される。そして、すぐにぶっ壊れる。従って、安くて速い中古車が好物

しかし、近所のオバちゃんが、ツインカムターボ2ドアのMT車で、その辺の道路を意味もなくオラオラ運転していた時代は、遥か昔に終了。

走行性能がクソレベルのミニバンや軽だらけになった昨今、安くて良い中古車は極めて手に入りにくくなった。走り重視系の人は、2018年現在、既に絶滅危惧種。

このタイプは、道にやたら詳しく、超スピードで走行しようが、半分寝てようが、10時間連続走行しようが、なぜか事故らない謎のスキルを身に着けている事が多い。

そのせいか、運送業になる人も多い・・・というか、この適性が無いと運送業などできないのではないか?

だから、最近人が集まらないんじゃ・・・適正が無いフツーの人が毎日6時間とか運転してたら、いずれ事故るのは当たり前でしょ・・・。

ただこのスキル、90年代は皆、身につけていた気がする・・・まぁ、大門軍団とかタカとユージに触発されてクルマとかバイク買ってたから・・・

当時は、今をトキメク名タレントやら現国会議員が、高速道路でキャノンボールするテレビ番組とか放送しちゃうくらいだし・・・

価値タイプ3 メカニック

イジるのが好き。オリジナルカスタムに価値を見出す。

経験を活かし、趣味と実益を兼ねて、板金屋やチューニングショップになる人が多い(多かった)。

しかし、電子部品化、基本性能の向上により部品交換頻度も飛躍的に長期化。イジる需要自体が激減。

カスタムと相性の良い板金業も、サポカーの台頭により軽い事故が激減。追い打ちをかける・・・

2010年頃から目に見えて減ってきた。近い内にごく少数だけ(タイプ1のコレクターを対象にしたメカニック)になるような気がする・・・

オーディオマニアや自作PCマニアと同じ道を辿りそうな予感(一般人全く興味なし系)。

そういえば、ステアリング交換だけで鬼速くなる、とんでもないメカニック漫画が昔あったな・・・

価値タイプ4 移動したい人

乗る(英語で言うとtake的な)のが好き。いつでも好きなときに移動できることに価値がある。

一見、クルマ好きに見えるけど、そうでもない。他タイプとは少し違う。このタイプにはバイク好きがほとんど存在しないからだ。

ぶっちゃけ、手段がクルマしか無いから乗ってるだけの人も多い。だからなのか、最近の都市部では、すさまじい勢いで減少している

せっかく買ったのだから、元を取らないといけないという意識も強い。このためなのか、不経済だと解っている超短距離であっても、とにかくクルマを使う(前述のとおり、距離を稼がないと距離単価が上がるから)。

ガソリン代、減価償却費、維持費を考えたら、スーパーの安売りにクルマで行く意味は皆無、てか冷静に考えたらアホくさすぎる。が、彼らは二言目にはこう言う「他に手段が無いから」と。

確かに、2009年くらいまでなら、この理論は解る。でも、2018年現在、銀行もスーパーも家電量販店も、日常的かつ簡単な需要なら、ほぼ全部ネット上で完結できる。

強いて店舗に行きたいのは服や靴くらいだ(だだし、これは日常ではなくレジャー要素も高い)。

公共交通機関の乗換案内もスマホに話しかければ出てくる時代。バスなどはGPSでリアルタイムに走行状況が解ってしまうほどになった。

印刷した細かーい時刻表を頼りに駅に行き、切符を買うまで目的地までの運賃すらロクに解らない時代は、だいぶ前に終わってる。

従って、移動の足としてのみ価値を見出すのは、もはやITリテラシーの低い旧時代的ライフスタイルの人以外は厳しい(特に都市部)。

スマホを駆使しアクティブにバンバン動いて、チャリなどにも乗れる健康体の若者にとってクルマやバイクは割高感がハンパナさすぎる。

しかも、チャリとか徒歩の方がメッチャ健康かつ健全

ぶっちゃけ、通勤、通院(特殊な)、送り迎え(プライスレス)くらいにしか価値は残されていないのではないか。

このうち、長期的に安定して必要なのは通勤くらい。でも仮に、片道10kmの通勤にのみ利用する場合、年間走行距離は5000km。

10年で50000km。車体代金が仮に200万円とすると、距離単価は40円/km。これにガソリン代と維持費が乗っかる。

往復だけで1日1000円くらいかかってる。月20000円以上交通費を支給してくれる会社なら良いけど、まぁ・・・6000円くらいが限度じゃないかな・・・

それに、地味だけど忘れちゃいけないのは、サラリーマンのマイカー通勤の交通費は所得に加算されるってこと。片道10km未満の非課税枠は4200円、多めにくれる会社だったとしても、標準報酬月額のランクが上がったりしたら意味ないからね・・・


他タイプやさらなる細分化 など

技術オタク(無所有の)や、珍走団(パリピ系の)はクルマ/バイク好きじゃないと、個人的には思ってる。バッサリと除外。

各タイプは更に細分化される(あくまで個人の見解)。

タイプ1 コレクター

旧車(年代)派、名車(メーカー)派、特定車両(エンジン)派など。

タイプ2 ドライバー、ライダー

ツーリング派、ワインディング派、ダート派、サーキット派、公式競技派など。

タイプ3 メカニック

ゼロヨン(最高速)派、サーキット(ラップタイム)派、ドレスアップ(見た目)派、機能付加(キャンピング)派など。

タイプ4 移動したい人

VIP(快適性重視)派、業務(積載量重視)派、あると安心(日常の足)派など。

まとめ・・・というか考えたこと

おそらく一番多いのは、タイプ4の業務派、あると安心派。この2つで大多数を占めるだろう。業務派がクルマ/バイク好きなのかは非常にアヤシイけど、完全に嫌いでもないと思う(他に代替手段があるなら特に)。

次に多そうなのは、タイプ2のツーリング派。けど、全体の2割だと多すぎではと思う。普段はタイプ4でシーズン中の特定日だけ、これになるパターンも一定数居る。

あとは、タイプ3のドレスアップ派もそこそこ居る。けど、1割だと多すぎる印象。

残りタイプの区別は興味のない人には難しい。クルマが全部トヨタだと思ってるレベルの人には、全部一緒に見えるだろう。

ただ実際、ほとんどは外見だけのドレスアップだから、あながち間違いでもなかったりする。ガチなのは相当少ない。

個人的な偏見だけど、被せるタイプのハンドルカバーとかシートカバーが付いてる人は、まずガチではない。

ガチVIPは本革巻き加工するからそんなもん付けないし、ドライバー系は操作に支障があるからソッコーゴミ箱行き。コレクターではあり得ない話(純粋にカバー用途ならあり得るけど)。

タイプ4だけ代替ができる

大事なのは一番多い(と思われる)タイプ4だけ代替ができるってこと。なぜなら「目的が移動でクルマは手段」だから。

1.2.3は目的にクルマ/バイクが含まれるから代替不可能。はたして、これらのガチなクルマ/バイク好きは、どんだけ居るのだろうか?

そして忘れてはならない事は、一番多いジャンルの人(タイプ4)が居るからこそ、他タイプは安価に遊べているという事実。

今後、完全自動運転になったら、どれだけの人がクルマ/バイクを購入するのだろうか?

クルマ好きが買わなくなる、と言う見解は個人的にはズレてると思う。むしろクルマ好きほど買うし、クルマ好きじゃない人ほど購入しないだろう・・・

だって、バスとタクシーの中間のような自動運転車が走り出して、移動コストが40円/kmくらいになってしまったら、移動の為だけにクルマを所有する人が居るか?

居ないでしょ・・・都市部のバイク需要なんてゼロになってしまうかもしれない・・・

んで、絶対数が少なくなると、クルマやバイク遊びのコストは跳ね上がる可能性が高い(特に保険が)。このとき、「好き」というだけで、どこまでのコストを負担できるのだろうか?

この業界、コストのバランスが崩れて、2025~2030年くらいまでに一気に崩壊するような気がしてならないんだよな・・・

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