JRの都区内パスはあまりお得感が無い(東京メトロ比)

先日、東京(吉祥寺)に行ったとき、都区内パスを買ってみたけど正直そんなにおトクでもなかった、という話。

※吉祥寺駅では買えないので注意。

toei-rosenzu2都営地下鉄のエリアは特に弱いJR

もくじ

  • 都区内パスの概要
  • 東京メトロ24時間券と比較する
  • 実際に利用してみた(新宿-目白-大塚-巣鴨-蒲田-赤羽-田端-赤羽-北千住)
  • まとめ

※東京メトロ1日券が24時間券化されたため一部追記と修正

投稿時(消費税増税前)の価格であり、2019年10月以降は値上げしている区間がある。なお、東京メトロ24時間券は価格据置だが、都区内パスは値上げした(お得感、更に減衰)。

最終更新 2019/11

都区内パスの概要

都区内パスとは、東京23区内のJR普通列車全線に乗ることができるフリー切符。有効期限は当日中。価格は750円。

結構安いな・・・と思いがちだけど、JR東京電車特定区間の運賃はとても安い。そのため元を取るのが難しい

東京メトロのフリー切符と比較する

価格、最大で利用できる範囲(末端の駅)、初乗り運賃、カバーしている地域などを比較する。

価格の比較

  • JR都区内パス →750円
  • 東京メトロ24時間券 →600円(以前は1日券だった)

どちらも自動券売機で購入できる。ただし、エリア内の駅のみ

東京メトロの方が初乗り運賃は高くて駅数も2倍以上多いのに、なぜか安い。

最大で利用できる範囲(末端の駅)の比較

利用できる末端の駅の扱いが大きく違う。

  • JR都区内パス →23区内
  • 東京メトロ24時間券 →営業区域内

これについて、少し詳しく書いてみよう。

都区内パスの末端

フリーエリアが23区内のため、末端は各特別区の境界線上付近にある。

この関係から、いわゆるターミナル駅では無いことが多い。というより、蒲田と赤羽以外、北関東の地方都市中心部よりショボイ駅だ。西大井なんて、ほとんど住宅しか無い。

従って最大距離(両端駅間)の利用は末端駅周辺の居住者以外には難しい。郊外から来ると、23区内最初の駅で一度改札を出る必要があり、初乗り分が無駄になったり中距離電車が止まらなかったりするから。

メトロ24時間券の末端

フリーエリアが営業区域内のため、末端が東京都内とは限らない

メトロの末端は他路線に接続しており、ほぼ全てがターミナル駅となっている(方南町と北綾瀬以外全駅)。営業区域の末端だから、改札を出ても運賃は変わらず無駄が少ない。

また、西船橋や和光市は東京都内ではないが利用できる。この2駅を経由する場合のメリットは極めて大きい。

参考記事(実際に利用した記録)→

西船橋から新宿へあえて地下鉄で行く 他

やっぱり北千住からの西日暮里乗換は謎 他

初乗り運賃の比較

  • JR東京電車特定区間 →140円(134円)
  • 東京メトロ →170円(165円)

都区内パスは6回、メトロ24時間券は4回乗れば、確実に元が取れる。

経験上、東京都内では8~10キロくらいの移動が多くなるから、JRは170円(165円)、メトロは200円(195円)程度になることが多い。この場合、JRは4回乗車、メトロは3回乗車でトントンになる。

3回というのは、1か所寄り道すれば良いから敷居は低い。しかし、4回利用2か所の寄り道は、時間的、距離的に厳しい場合が多い。

例えば、北千住⇔新宿+神田に寄り道するパターンを考えてみよう(寄り道1か所)。

JRは170円+170円+310円=650円
メトロは200円+200円+240円=640円

メトロ24時間券は元が取れるけど、都区内パスは割高(普通に切符を買ってもJRの方が割高)。

ただし、メトロの路線図と乗り換えは地方在住者には解りづらい。この例だと、神田⇔新宿を移動する時、神田駅から乗る必要は全く無く、淡路町駅、神田駅、大手町駅を場所によって使い分けると速い。

・・・けど、この判断は難しい。そのためみんなJRに乗ってしまう・・・



カバーしている地域の比較

概ねこういう傾向になっている。

  • JR →放射&直線的にカバー
  • メトロ →放射&網目状にカバー

成立時期の差が大きいのだろうが・・・実は、JRで行ける地域よりも東京メトロで行ける地域の方が多い。具体的には・・・

JRの方が有利にアクセスできる主要駅(地域)

大井町、大森、蒲田、新小岩、小岩、浜松町、田町、品川、大崎、五反田、葛西臨海公園など。

※駅前に繁華街や大規模な施設があり、東京メトロの直近駅から歩くのが厳しい駅

JRが必須級なのは、小岩、新小岩、葛西臨海公園あたり。これら以外は他路線(メトロ以外も含む)からも多少歩けばアクセスできる。

東京メトロの方が有利にアクセスできる主要駅(地域)

六本木、赤坂、麻布十番、築地、豊洲、浅草、門前仲町、押上、文京区中央部エリアなど。

※駅前に繁華街や大規模な施設があり、JRの直近駅から歩くのが厳しい駅

六本木、赤坂、麻布十番にJRの利用はキツイ。浅草と文京区の中央部は都営なども利用可能だけど、運賃と接続駅の関係から東京メトロが圧倒的に有利だ。都営にはビミョーな設計の駅が多いし、あまり使いたくない(特に六本木と麻布十番は深すぎる)。

築地、門前仲町、豊洲などは歩けないことは無いが、けっこう遠い。そもそも、京葉線は都区内パスを持っていても乗りたくない(乗換が凶悪すぎる)。

カバー地域のまとめ

ざっくり書くと、こうなる

メトロが圧倒的にアクセス有利

港区の西側、江東区の中央部、浅草と押上、文京区のほぼ全域

JRが圧倒的にアクセス有利

小岩、新小岩、葛西臨海公園の駅前のみ。次点で京浜東北線の浜松町⇔蒲田沿線(都営&京急がほぼ並走してる)

どちらの用事が多いかと聞かれれば・・・圧倒的に前者だろう。江戸川区にゆかりがある俺ですら前者だ。

なお、メトロ24時間券で都営へ乗り越すと割引が効かない(+300円で共通一日券あり)ため注意。

JR都区内パスを実際に使ってみた

以下、いつもの俺の旅行記。都区内パスのお得感の無さを実感した話。

※今回のスタートは吉祥寺だけど、吉祥寺駅では販売していない。注意が必要。

吉祥寺-新宿

ある日の平日午前中、吉祥寺まで乗ってきた車を降りてラーメン(ホープ軒)食ってマッタリしていた。この時点では新宿の元祖寿司に行くことしか考えてなかったから、北海道みやげのKitacaでJRに乗車。

乗車中に一日乗車券を買おうと突如思い立つ。既に中野を過ぎており、ここで下車しても意味がないためそのまま新宿で下車。後で考えると京王に乗ればよかった。安いし、よく考えたら元祖寿司は新線新宿の上だったなぁ・・・特に考えずに駅前に行くと、なぜかJRに乗ってしまうんだよなぁ・・・何でだろ。

利用開始

元祖寿司で95円のサーモンとか125円のシメサバとかイクラを食らう。やはりここの元祖は他とレベルが違う。特にサーモンは95円とは思えない質で相変わらず素晴らしい(追記:2017年秋に行ったら激変してた・・・残念すぎる)。

食った後、新宿駅サザンテラス口の券売機で「お得な切符」をタッチし、都区内パスを購入。適当に山手線外回りに乗る。

目白

下りたことなかったので目白で下りる。目白は何だがハイソな町で、学習院以外なんも無かった。3分くらいでまた改札に戻る。

大塚

山手線外回りに乗り目白とは対極の下品な街、大塚で下りる。適当に一周したが、活気がない。こんな街だったっけ?大塚って?もっとアヤシイオッサンが跋扈する無法地帯のイメージだったんだが。


巣鴨

再び山手線で巣鴨へ。北口のアヤシイ路地裏を通り歩道橋から巣鴨地蔵通り商店街へ。ここは観光客ばっかりだった。商店も値段が解らんようなモノばかり売っていてアヤシイ。なんだか典型的な観光地になっている。巣鴨って昔こんなんだったかな?もっと門前町ぽかったイメージだったんだが。

蒲田

歩き疲れたので休憩がてら田端で京浜東北線南行きに乗り蒲田まで行くことにする(田端ならガラガラなので座れる)。京浜東北線でマッタリ移動~シートが温かくてキモチイイ。・・・35分くらいで蒲田到着。西口からぐるっと回って東口へ、京急駅前まで歩いて行ってからJR駅前に戻る。気づいたのは、やっぱり蒲田と京急蒲田の間は治安が・・・・・・

自動販売機の釣銭口に連続で手を突っ込んでるオッサンや、道のド真ん中をドヤ顔でタバコ吸いながら歩いてるオッサンなどが普通に居る。そしてチャリとクルマの運転がとてつもなく荒い。それらが醸し出す街を包み込む何とも言えない負のオーラ。恐るべし蒲田。

JRに戻ると夕方ラッシュ。下りは寿司詰め。上りも東急からの乗換がけっこういて座れない感じ。しばらくホームに居ると空いてきた。18時半くらいで上りのピークは終わるようだ。

赤羽

絶対に座れる蒲田始発の京浜東北線北行きに乗り赤羽へ向かう。赤羽でダチと合流。

田端

京浜東北線で田端へ。もりいちで呼び込みしてた。そんなに入らないの?この店。元祖よりうまいと思うんだけど、まぁ田端だしなココ・・・

赤羽

再び赤羽へ。なんかよくわからんが、適当な大衆店で飲む。

北千住

京浜東北線南行に乗り上野へ。上野から始発に乗り込み北千住へ・・・これにてJRの一日券利用は終了。

運賃まとめ

新宿-目白-大塚-巣鴨-蒲田-赤羽-田端-赤羽-北千住

160円+140円+140円+390円+470円+170円+170円+220円

合計1860円

差引1110円の得。しかし、目白で下りたのと蒲田に行かなければ元を取れるかは微妙なラインだ。

まとめ

やはり、無駄にくるくる回らなければ末端駅からの往復以外の利用で元を取るのは至難の業だ。

今回の経路が新宿-巣鴨-田端-赤羽-北千住だったとすれば、170円+140円+170円+220円、合計700円となり元が取れない。ICの場合は更に20円ほど安いため都区内パスを買うメリットは皆無になる

これは運賃以外のメリットを考えないと厳しい。

例えば、冬季は休憩場所を探すのが大変だけど、満喫やカフェに入るより都区内パスを購入して、ラッシュと逆方向の列車に乗って座って休むという利用方法が考えられる。

山手線に乗ってぐるぐる回るのも可。通常の切符で山手線ぐるぐるをやると1周した時点で1周全ての運賃と2周目の運賃を払わなければ不正乗車になってしまうが、都区内パスを持っていれば、1日中ぐるぐる回っていてもOK。

西大井と赤羽を湘南新宿ラインと横須賀線と上野東京ラインで往復しまくってもOK。ただし、武蔵野線で帰って来たり、北千住から大手町経由で中野に行ったり、私鉄各社の末端まで行って帰って来たりしてしまうのは不正乗車になってしまう。厳禁である。

いっぽう、東京メトロの1日券は、24時間券になってから利便性が劇的に向上した。1日券のままの都区内パスは相対的な割高感がありすぎる。もはや葛西臨海公園に行くくらいしか魅力がないと言っても言い過ぎではない。

特にメトロ24時間券の運用が入場時間基準である点。この価格破壊力が高すぎだ。利用開始日の次の日、前日より1分でも早く駅に着けば片道も使えてしまう(つまり沿線住民なら往復だけで簡単に3回使える)。

結論

実際に利用してみた結果、都区内パスにお得感はあまり無かった。

都心部への用事なら都区内パスより東京メトロ24時間券の方がいいと思う。

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